高電圧/高電流測定装置 FAT PROBE
-チップキャリアで寄生成分を極力抑え、チャックの損傷を防ぐ100A測定を実現-

IGBTやパワーMOSといった大電流を制御するデバイスは、一般的にパッケージになった状態で測定評価されます。この測定評価をできるだけ前の工程で実施できれば、大幅な製造コスト削減につながります。ただし、ウェハーでの測定ではリスクが伴います。まずひとつめのリスクは、破壊試験をしたい場合には大きなエネルギーがかかるため、ウエハー自身が割れてしまい、ウエハーをまるまるおじゃんにしてしまうという懸念です。ふたつめは、デバイスが破壊した場合にチャック表面を焦がしたり、変形したりしてしまい、ウエハーの搬送ができなくなってしまうという懸念です。今回はこれらを見事に解決した「チップキャリア」を紹介いたします。

2009年3月

 

オートプローバー
 (図2 オートプローバ/セミオートプローバ/
マニュアルプローバ)
■チップキャリアとは?

チップキャリア(図1)はその名のとおり、チップを搬送するための道具です。チップキャリアはウエハー形状をしており、ポケットにベアチップをセットすることによりウエハー搬送用のプローバー(図2)にて、搬送することができます。
チップキャリア
 (図1 チップキャリア)

チップキャリアで搬送すれば、前述した、「ウエハーをおじゃんにする」心配もなく、また「チャックを傷める」ことなく、存分に破壊試験を実施することができます。
IGBTパッド位置モデル
(図3 IGBTモデル)

■寄生成分をできるだけ少なくする構造??


パワーデバイスの構造は図3のように裏面にコレクタ、表面にエミッタ及びその他の端子(ゲートなど)が配置されるのが一般的です。そこでこのチップキャリアでは、ポケットの底にメタルを設置し、メタルとチップ裏面を同通させ、このメタルに針を落として、測定できるように設計されています(図4)。

チップキャリアの構造
  (図4 チップキャリアのモデル)

ウエハーレベルでの測定を考えた場合、どうしても裏面の電極はチャックからとらなくてはならなくなり、チャックトップおよび、チャックトップからテスターまでのケーブルでの寄生成分がどうしてものってきてしまいます。周知のとおりACテストにとって寄生成分は大敵です。

このチップキャリアの構造は寄生成分をできるだけ少なく、測定をするための構造といえます。


メタルに損傷
(図5 チップキャリア損傷モデル)


■チップキャリアが損傷した??


アバランシェなど破壊試験を実施するとチップのみならず、チップキャリアも損傷してしまう事例があります。図5のモデルのように破壊試験実施後チップキャリアのメタル部分に盛り上がりができ、その後チップを載せてもエミッターとの接触が不完全になってしまいます。こうなるとDUTとメタル部分に隙間ができ、スパークが起こり、破壊します。このような現象は、大電流のDC試験においても同様です。

ここでいえることは、ウエハーレベルで破壊試験を実施するとこの現象によりチャックそのものを損傷してしまう可能性が大きいということです。こうなるとチャックそのものを修理する必要がでてきます。オートプローバーにて搬送していることを考えると、この盛り上がりにより搬送中のウエハーを落下させる危険性も伴います。 ご存知のようにチャックそのものは非常に高価であるし、これを取り替えるのも一苦労です。このような状況では、チャックそのものの修理が完了するまで、測定を続行できないことを意味します。

この際チップキャリアであれば、破壊されるのは、一つのポケットのみとなるため、破壊されていないポケットを利用し、測定を続行でき、効率的です。また、チャックほど高価ではないので、予備にいくつか持っておくこともでき、タイムラグがなく測定を続けられるメリットがあります。

   
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