MSRシリーズで使われているプローブカードの背景

現在の社会では半導体は切っても切れない世の中になってきている。身近な物の全てに色々な半導体が使われるようになり、それらは人間社会の命をも左右するようになってきた。
その半導体の信頼性は人の命を守る大きなファクターとなり、その測定は半導体出荷に際して、とても重要な項目になっている。今回紹介をするのは測定をする際に「コンタクト」を可能にする重要な役割を担っている「プローブカード」である。
2008年5月

 

半導体の測定は大きく分けて2つある。出荷検査(生産ライン検査)とサンプリング検査(オフライン検査)である。今回はその中でもオフライン検査項目であるデバイス信頼性試験に利用されるプローブカードについて話をする。

デバイスを作る際に必要になってくるウェハー内での配線、酸化膜形成、そしてトランジスタ動作の信頼性試験はエレクトロマイグレーション試験やTDDB試験、ホットキャリア試験やNBTI試験といった試験がある。これらはデバイスに熱(-40度〜200度)と電気的ストレス(駆動電圧よりも大きなDCストレス電圧)をかけてデバイス破壊検査を行うことで信頼性測定をする。


MSR用セラミックボタン型300mm対応プローブカード

ボタン型セラミックで針を立てている時の写真
破壊時(ハードブレイクダウン)までの所要時間はその測定戦略にもよるが、1分〜3ヶ月と幅が広く、測定というには長い試験になる。破壊までの時間が長ければ信頼性試験の保証確度があがると言われるなかで、各社では同時測定(パラレル測定)をどの様に行うか頭をひねっている。つまり、測定数(n数)を多く取れば取るほどそれだけデバイスのばらつきや分布がわかるからである。

温度試験の際にまず問題になるのが「デバイスとのコンタクト」である。現在ではウェハーレベルではなく、パッケージ作り、チャンバーに入れ、測定をする例が多い。しかし、それではパッケージを作るまでの時間とお金がもったいない。それではウェハーレベルで、と安易に思いつくのだが、測定器は問題ないとしてもデバイスとのコンタクトが問題になってくる。大口径(300mm)になればなるほど難しくなる。

では問題点とは何か、それはデバイスとのコンタクトを担うプローブカードである。通常プローブカードと言うと1デバイスを測定する為の針(プローブ)が立っているのを想像するが、信頼性の試験をする際にはウェハー面内を一括コンタクトしたいと言うのが要望になる。300mmウェハーを一括コンタクトする為にはプローブアライメントがとても重要になる。300mm離れた場所でもX-Y-Zの位置ばらつきを数ミクロンに抑える技術がないと不可能である。ではそのようなプローブカードは世の中にないのか? 実際には数社作っている。しかし、信頼性を試験する際には高温による加速試験になる為、100度以上の温度をかけて測定する場合(通常125度や150度が多い)、ウェハーを固定し、熱をかけるチャック(ステージ)からの輻射熱により針(プローブ)自体の熱膨張のみならず、プローブカードの裏面(針が出ている側)が温まり、プローブカード表面(上面)は温度が低いため、カード自体に「反り」が起こる。

300mmマニュアルプローバ 搭載時

300mmマニュアルプローバとMSR

また、裏面の温度は高温になる為、通常プローブカードで使われているガラスエポキシやポリイミド等の材質では不可能である。更にはコンタクト保証で重要になる「スーパーオーバードライブ」(高沈み込みコンタクト)が必要になる。つまり、ウェハーとのコンタクトを保証するには、通常50μm程度のオーバードライブ(針沈み込み量)を設定するが、その際に上記の問題で±40μm(レンジ80μm)の高さばらつきが出たと考えると、針(プローブ)があたる部分とあたらない部分が出てきてしまう。300mmウェハー(大口径)での測定に際し、コンタクトを長時間、問題なくし続けるにはそれなりのオーバードライブも必要になる。

そこで、それらの問題を解決したのがセラミックタイル型プローブカードである。セラミックによる高温対応(〜350度)を可能とし、また、反り等の問題を解決するためにカード自体の作りを層(レイヤー)にわけて、それを少なく(±10μm、レンジで20μm以内)する事で高温下での試験を可能にした。また、針の立て方を通常の方式ではなく、針埋め込み型(特許)を利用している。これにより通常、最大でもオーバードライブは100μmと言われている業界で、200μm程度まで沈み込ませてもカード自体を壊さない仕組みにさせた。プローブカードが問題なくコンタクトをしてくれれば、あとは今までのパッケージでの測定と同じ測定原理で信頼性を行う事が出来る。

ウェハーレベル信頼性(WLR:Wafer Level Reliability)、その中核を担うプローブカードは簡単に見えるが、その開発期間と失敗の数は多かった。現在では安定してウェハー面内を一括でコンタクトし、熱にも耐えられるようになった。

ティアテックではこのプローブカードのみならず、測定器、プローバ、ソフトウェアの全てを取り扱い、全てをサポートする。信頼性総合システムはMSR(Multi-Site-Reliability)シリーズと呼ばれ、多くの半導体メーカに利用されている。


300mm対応 東京精密社製UF3000とMSR
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